移住者の声~JTC代表 クリスティ・美保子さん~

更新日:2022年11月22日

クリスティ美保子さんのメイン画像

お名前:クリスティ・美保子さん

出身地:神奈川県茅ケ崎市

移住した年:2008年8月

家族構成:夫+子供4人

現在のお仕事:
The Japan Travel Company 株式会社
代表取締役

JTC会社ホームページ


杵築市の中でも、特に豊かな自然を持ち、広大な田園風景が広がる大田地区。
そんな大田から世界へ、元来の日本が持つ魅力を観光業を通して世界へ発信し続けている会社があります。

日本人が忘れがち、見落としがちな里山の魅力。

それをこよなく愛し、守っていきたいと熱く語るクリスティ・美保子さんに、田舎での暮らしや子育てについて話を伺いました。


ジャパントラベルカンパニー外観

会長で夫のポール・クリスティさんは2002年に移住。大田の地域活動にも多大に貢献している。

 

 

移住したきっかけは?

アロマテラピーの勉強のためにロンドンに在住していたのですが、その頃仕事の関係でロンドンに帰省していたポールと出会い、結婚を機にすでにポールが住んでいた杵築市の大田に転入することになりました。

元々関東に住んでいたので九州に来たこともなかったのですが、 以前から田舎暮らしに憧れを持っていたこともあり、全く抵抗もなく大田に住むことを決めました。

移住先を選ぶ上で、重要視したことや準備したことは?

夫から話は聞いていましたが、交通の便が悪く、車に乗らないとどこにも行けないと言われていたので、ペーパードライバーでしたが車生活に備えて運転のウォーミングアップをしました。

また車の具合が悪くなった時の為にJAFを契約したりなどの備えもしましたね。

今と違ってインターネットもそこまで普及していなかったので、そこまで情報も調べられなかったのですが、元々楽天家な性格なので「住めば都」で何とかなると思って飛び込みました。

でもインターネットも通じるし、Amazonなども普通に来るので、初めからそんな不自由はなかったです。

ただ、当時は車が1台しかなく、夫が出張などで長期間居なくなってしまうような時は、前もって食料などを買い込んだりして備える必要はありました。

大田の里山風景

大田ののどかな里山風景

 

実際に引越しされてからの生活はどう変わりましたか?

すごく静かな環境になりましたね。

前はロンドンの街中に住んでいたので騒音も多かったのですが、こちらは本当に静かで、すごく季節感を感じました。

大田に来た時がちょうど8月の終わりだったので、夏から秋にかけた季節の変わり目で、まだ暑さが残る時からだんだん秋らしくなるにつれて真っ暗になるのが早く、鹿が鳴きだしたりとかすとん、と闇が来る感じだとかが、季節の真っただ中にいる感じがしました。

ロンドンにも四季はあるのですが、街中だったので夜でも灯りがたくさんあって星も見えませんでした。

大田に来て、そんな季節をはっきりと感じられる環境の中に居られることが、自分は大好きなんだと再確認することができました。

熱く語る美保子さん

悪い方の変化としては、やはり情報がとても少なく感じました。

インターネットはあったものの、田舎の情報はまだまだ少なく、こちらに来てすぐに妊娠したのですが、どこの産婦人科がいいか、など調べる術もありませんでした。

近所の人に聞いても知らないと言われ、そもそも同年代が周りに居なかったので、その辺りの情報は全く得られず…。

杵築に産婦人科があるかも分からなかったので、1人目は別府の産婦人科に通って産みました。
2人目、3人目になると、その頃には幼稚園などで出会ったお母さん繋がりで、杵築の産婦人科なども教えてもらえるようになりました。

大田での子育てについて

子育てするようになって、大田の中でもお母さんが居るということが分かり、そこから知り合いが増えて情報が整ってきたように思います。

特に大田こども園にはとても助けられました。


よく子供のことを見てくれるし、会社をやっていることもあり他のお母さんに比べても場違いなくらい忙しい母親だったんですが、そんな家庭の子供も普通に受け入れてくれて、迎えに行くのが遅くなったり、土曜日の保育をお願いしたりしても嫌な顔をせず温かく受け入れてくれました。

一緒に子育てをしてもらったと言っても過言ではないですね。

普通は祖父母がサポートしてくれるんだと思うのですが、周りに親戚が居らず、変わった移住者だったであろう私たち家族も、ちゃんと地域がキャッチしてくれました。


会社の設立当時など本当に忙しく大変だったのですが、どうしても手が回らない時などは、近所の信頼できる人にお願いして子供を預かってもらったりなど、本当に地域に助けてもらったと思います。 感謝も大きいですね。


大田こども園は待機児童などもなく、いつでもどこからの人でも臨機応変に受け入れてくれます。
園長さんには親戚のように育ててもらった感がありますね。

 

大田こども園

他の市町村からも希望者が来る大田こども園

 

大田こども園校庭

広い庭園では子供が伸び伸びと走り回れる

 

杵築に住んでみて、良かったことと困ったことを教えてください。

良かったことは、季節感や旬の物を味わえる喜び。
人々が大らかでやさしいこと。
胸がスカッとするスペース感。

子供が男の子4人なので、走り回りたい年頃でも伸び伸びと遊び回ることができています。
数は少ないですが同年代の子供は居るので、毎日自由に遊びに行ってますね。

大田小学校も子供の数は少ないですがその分、密に見てくれるので、学年を超えて交流があります。高学年の子供が低学年の子供の面倒をよく見たりなど、人間関係も深くなっていると思います。

他の学区からわざわざ大田小学校に転入したくて、大田に引っ越した家族がいるほどです。

一度事情で、大田を離れて東京に住んだことがあるのですが、知り合いに「あなたの子供は東京の子に比べてすごくよく喋るね」と言われました。

恐らく都会では、危険なので知らない人と話さないように、付いていかないようにと教えられているのだと思うのですが、うちの子は大田で育ったので挨拶もすごくするし、物怖じせずに誰とでもよく喋るんです。

そういう面でも大田に育ててもらったんだなと、大田から出た1年半ですごく痛感しました。

小学校の活動の中でも地域の人と関わる取り組みなどが多々あり、木の植え方やどんぐりなど森の事を教えてもらったり、地域の餅つきに参加したり、田植えなど農業に関して学んだり、都会では経験できないような体験をいっぱいさせて貰っています。

大田小学校の子供たち

地域のお祭りに参加する大田小学校の子供たち

 

芋掘りを楽しむ子供たち

地域の人たちと一緒に芋掘り

困ったことは、地域の人しか知らない、言葉になっていない暗黙のルールがあること。

それを知らずに失礼なことをしたり、言ってしまったりしたことがあります。
注意してくれたらいいのですが、面と向かって言うのがキツイと気を遣われたのか、言われずに後から噂で聞いたことも…。

決まり事があることが分かればすぐに対処するのに、誰も教えてくれないので、後から取り決めがあることが判明して、とても恥ずかしい思いをしました。

あの思いは先輩移住者として、他の移住者に体験させたくないですね。

地域もまったく悪気はなく、ただ当たり前に皆が知っていることだったので、外から知らない人が来た時にそれを伝えないといけないという事に気付かなかったんだと思うのですが、今後の為にもう少しルールをしっかり明確にした方がいいと思います。

またこれから繋がるルールだけを残していくように、時々見直す必要があるように思います。 時代に合わせたやり方を選んで取り決めて行った方が、高齢化した社会にも適用すると思います。

ただ同じ大田でも、区が違うと取り決めや環境も違ってくるので、地域全体を見られて、繋げてくれる役目を持ったコンシェルジュ的な人物が必要だと思います。

今後移住者を増やすのであれば、市としてもそのような体系を整えていくべきではないでしょうか。

高台からの大田の風景

四季折々で美しい景色を楽しむことができる

白髭田原神社

どぶろく祭りでも知られる白髭田原神社

地域と馴染むために努力したことや気を付けたことは?

草刈りは大切なコミュニケーションツールですね。
夫が参加できない時は私も参加します。

どの地域もそうだと思いますが、草刈りは重要な情報交換の場でもあるし、お互いどれだけ本気で住んでるか確かめ合うような場であると思うので、一生懸命にやってきました。

今後杵築でやってみたいこと、夢、目標などあればお聞かせください。

会社を安定させながら、日本、特に国東半島、杵築、大田の魅力を発信しつつ、お客様に訪れてもらうことを維持継続しながら拡大していきたいです。

また、会社でコミュニティ・プロジェクトという里山や農地、山林などの景色を守る景観維持活動をしているのですが、管理がされず荒地となっているような山々を多様性のある森に戻していきたいと思っています。

元々の森って雑木林からなっていて、色んな昆虫や動物や植物など、多種多様なものが共存していたと思うんです。
時間はかかりますが、せめて小さい山でもそういう場に戻したいですね。

今も 実際そこがトレッキングのコースとなって、海外からのお客様が歩いたりしています。

あるものを活かし、そこの価値を見直して付加価値をつけることで、ここを中心に人の交流の場を設けていきたいと思っています。

すでに最近、国東半島を中心に、人が人を呼んで県外、海外などからもどんどん人が来ており、人の渦が出来てきていると感じます。

JTC会社の風景

スタッフも地元の人から県外、海外など様々な場所から集まって来ている。

 

オフィスの窓から見える景色

オフィスの窓から見える景色も心休まる風景。

移住を考えている人へ

ポールさんと美保子さん

生活の質みたいなものを求めているのであれば、色んな可能性が田舎にはありますよ、という事を伝えたいですね。

働き方に関してもインターネットで色んな仕事ができる今、必ずしも都市部にいる必要はないと思います。

自分の人生は一度きり、どんな風に生きていきたいかをもっと幅を持って選んでもいいのではないでしょうか。

田舎は都会に比べて不便なことも多いので、自分でやらなくてはいけない事も多いのですが、その中で意外な自分のスキルを見つけられて、自分発見の機会になったり。

買うのが当たり前だった物が、自分で作れてしまったり、とかですね。

あと、都会ではいつでも会えるから、と人と会うことを後回しにしがちですが、田舎は距離的な事もあって会おうと思わないと会えないので、会いたい人にはしっかり会う機会を作ろうとする気がします。

人との関わり方が違うように思いますね。

人の本当の豊かさが私はあるように思うし、生活の質を求める人にはぜひ一度試して欲しいです。

この記事に関するお問い合わせ先

協働のまちづくり課 移住・定住促進係
〒873-0001 大分県杵築市大字杵築377番地1
電話番号:0978-62-1814
ファックス:0978-63-3833
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