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さまざまな人権課題

更新日:2020年02月01日

人権とは?

「人権」という言葉からあなたはどんな印象を受けますか。

「とても大切なもの」それとも「なんだか堅苦しくて難しいもの」、はたまた「自分には関係ないもの」でしょうか。

 「人権」とは、「全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」あるいは 「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」であり、誰にとっても身近で大切なもの、違いを認め合う心によって守られるものだと私たちは考えています。

                      ~法務省人権擁護局「はじめに」より抜粋~

 

主な人権課題(人権8課題)

部落差別(同和問題)

 私たちは、誰であろうと生まれてくるときに、家や親、場所を選ぶことはできません。
 部落差別(同和問題)とは、同和地区・被差別部落などと呼ばれる特定の地域出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活の上で差別発言を受けたり、差別落書きが書かれたりと様々な差別を受けているという重大な社会問題です。
 部落差別(同和問題)は、決して一部の人たちだけの問題ではなく、人間が人間として尊重され、誰もが平等で明るく幸せに生活できる社会の実現のために、私たち一人ひとりが取り組むべき問題なのです。
 このような状況の中で、平成28年12月には「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。啓発によって新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に問題の解消に資するものとなるよう、内容や手法等に配慮し、この問題についての理解を深めていくことが必要です。
 また、同和問題(部落差別)の解消を阻む大きな要因となっているものに、いわゆるえせ同和行為があり、このえせ同和行為を排除するための取組を行っていくことが必要です。
 

女性の人権

 男女平等の理念は、日本国憲法に記されており、法律でも男女平等の原則が確立されています。
 しかし、現実にはまだ男女の固定的な性別役割分担意識が根強く残っており、職場や家庭において、男女差別を生み出す一因となっています。
 男女共同参画社会基本法、男女雇用機会均等法などの法整備により、法の下の男女平等の原則は確立されてきましたが、その意識が社会に浸透しているとはいえない状況にあります。例えば、依然として「男は仕事、女は家庭」というような男女の役割分担意識が根強く残っており、家庭や職場において、いろいろな男女差別を生み出す一つの要因となっています。また、近年、夫やパートナーなどからの暴力(DV:ドメスティックバイオレンス)や、職場でのセクハラ(セクシュアルハラスメント)も女性の人権を侵害する行為として、大きな社会問題となっています。女性と男性が相互の立場を尊重して協力し合えるよう、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。
         

子どもの人権

 いじめや児童虐待、体罰など、非常に深刻な問題になっています。
 自分からヘルプの意思表示をすることができない幼児や児童など、大人が関心を持って、いちはやくSOSをキャッチし、保護できるよう社会全体で取り組んで行く必要があります。
 今、「いじめ」や「体罰」など、子どもに関する人権問題が非常に深刻な問題となっています。
 「いじめ」が起こる原因の一つとしては、他人に対する思いやりの気持ちやいたわりといった意識が薄いことが考えられます。
 さらに最近では、児童虐待、児童買春や児童ポルノなどの性的搾取といった問題もクローズアップされて来ています。
 これらの子どもの人権問題に対して、私たちは真剣に関心を持ち、虐待などの気配を察知したらできるだけ早く保護することが必要です。
 また、子どもが一人の人間として最大限に尊重されるよう、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。
  

高齢者の人権

 高齢者の人権を守るためには、自立して生活しやすい環境や、他世代との交流の場を作ったり、高齢者を思いやる意識を高めるための活動を行うなど、一人ひとりが高齢者の人権に対して、認識を高めて行くことが重要となっています。
 社会の高齢化に伴い、病気などのために介護を必要とする高齢者に対する看護者の肉体的・精神的虐待や、就業差別など高齢者の人権が大きな社会問題となっています。
 高齢者の人権を守るためには、「高齢者が自立して生活しやすい環境づくりに努める」、「高齢者と他の世代との交流の場を多く作る」、「高齢者を思いやる意識を高めるための活動を行う」ことが必要であるといわれています。
 わたしたち一人ひとりが、高齢者の人権に対する認識を高めていくことが、今後、より一層必要な時代となっています。
 

障がい者の人権

 障がい者個々人が置かれている状況は、障がいの種類・程度や生活環境などによってさまざまです。共通の課題は、障がいがあるからといって可能性が否定されることなく、それぞれの能力を最大限活かし、社会の一員として地域の中で暮らすというごく当たり前の事です。
 現在、障がいのある人には多くのバリアがありますが、皆でそのバリアを取り除いていくことによって、結果的に障がいのある人も住みよい「ノーマライゼーション」の理念が行き届いた社会を築くことができます。「心のバリア」を取り除き、障がいをその人の個性として捉え、それぞれの状況に応じて接することからはじめましょう。
 

外国人の人権

 日本で生活する外国人は、年々増加する傾向にあります。
 しかし、言語、習慣、文化等の違いから、外国人をめぐって様々な人権問題が発生しています。
 外国人に対する偏見や差別意識をなくしていくために、市民の皆様も、文化等の多様性を認め、外国人の生活習慣等を理解・尊重するとともに、お互いの人権に配慮した行動をとるようにしましょう。
 外国人であることを理由とする不当な就職上の取扱い、アパートやマンションへの入居拒否などの人権問題が発生しています。また、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がヘイトスピーチであるとして社会的な関心を集める中、平成28年6月には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行されました。 
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、また、今後、外国人材の受入れ拡大を受け、在留外国人の増加が見込まれる中で、外国人と接する機会はますます増加することが予想されます。共生社会を実現するため、文化等の多様性を認め、言語、宗教、生活習慣等の違いを正しく理解し、これらを尊重することが重要であるとの認識を深めていくことが必要です。
 

医療をめぐる人権

  HIV(エイズ)、ハンセン病等の感染症に対する知識や理解の不足から、日常生活、職場、医療現場など社会生活の様々な場面で差別やプライバシー侵害などの人権問題が発生しています。
 病気の苦しみに加え、職場や社会での差別や偏見とも闘わなければならないのです。無理解や無関心は、問題を解消しません。誰もが安心して暮らしていけるように、正しい知識や認識を持つことから始めましょう。そして、ともに生きる仲間として手を取り合うことが必要です。
   

さまざまな人権

 これまで紹介した人権の他に、次に掲げるようなさまざまな人権問題が存在します。
 今後、社会が複雑、多様化し、また、人々の人権意識が高揚することにより、新たな人権や今まで見過ごされていたような人権が生じるものと考えられます。
 これらさまざまな人権問題についても、正しい理解と認識を深め、偏見や差別をなくし、人権が尊重される社会をつくる必要があります。
 

アイヌの人々に対する

 アイヌ民族であることだけを理由に、就職の際に採用を断ったり、結婚に反対するなどの差別や偏見がまだあります。
 北海道を中心とした地域に古くから住んでいるアイヌの人々は、自然の豊かな恵みを受けて、独自の平和な生活と文化を築き上げてきました。しかし、次第に独自の生活様式や文化は侵害されるようになり、特に明治以降は、狩猟を禁止され、土地を奪われ、日本語を使うことを強制されるなどの同化策が進められました。このように、アイヌの人々は生活の基盤や独自の文化を奪われ、貧困にあえぎました。
 アイヌの人々の人権に関しては、アイヌ民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るため、平成9(1997)年に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が制定されました。
 また、平成20(2008)年には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で採択され、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組んでいますが、アイヌの人々の人権の擁護と文化に対する理解は十分とはいえない状況です。
 先住民族であるアイヌの人々の歴史,文化,伝統及び現状に関する認識と理解を深めていくことが必要です。
 

    

犯罪被害者とその家族の人権

 犯罪被害者やその家族は、何の落ち度もないのに、ある日突然、犯罪者の不法な行為によって生命、身体、財産に危害が加えられるという直接的な被害だけでなく、その後も精神面、生活面などにおいて、さまざまな二次的被害をうけるなど、幸福に生きる権利をおびやかされています。これまでは、多くの犯罪被害者や家族の方々が誰からも援助の手をさしのべられることなく、一人で悩み、苦しんでいるという実態がありましたが、近年、法整備や被害者支援ネットワークの構築など、犯罪被害者やその家族を社会全体で支えるための取組が進められています。
 私たちは、誰もが犯罪に巻き込まれ、被害者やその家族の立場になる可能性があります。
 私たちは、犯罪被害者やその家族の置かれた状況を正しく理解し、思いやりの心をもって接するとともに、社会全体で支援するための取組をさらに進めていかなければなりません。
 犯罪被害者とその家族の立場を考え、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

インターネットを悪用した人権

 インターネットの普及によって、短時間に多くの情報が得られるなど、私たちの生活は便利になりました。また、誰でもウエブサイトやブログを作成して、自分の情報を発信したり、掲示板に書き込み、自分の意見表明を行うことができるようになりました。
 このように、インターネットには多くの利便性がありますが、使い方を誤ると、犯罪に巻き込まれたり、命にも関わる事態を引き起こしたりするなど、私たちの生活に深刻な影響を及ぼすことがあります。これは,スマートフォンや携帯電話のサイトでも同様です。
 情報が瞬時のうちに世界中に広まってしまうこととともに、匿名性があるというインターネットの特性を考えれば、差別的な書き込みがあとを絶たないことは、深刻な問題です。
 個人の名誉やプライバシー、インターネットを利用する際のルールやマナーに関する正しい理解を深めていくことが必要です。
 

北朝鮮当局による人権侵害問題

 1970年頃から80年頃にかけて、北朝鮮による日本人拉致が多発しました。現在、17名が政府によって拉致被害者として認定されています。
 平成14年9月に北朝鮮は日本人拉致を認め、同年10月に5人の被害者が帰国しましたが、他の被害者については、未だ北朝鮮から納得のいく説明はありません。拉致問題に関する北朝鮮側の主張には多くの問題点があります。
 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、この問題の解決なくして日朝の国交正常化はあり得ません。すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、国を挙げて最大限の努力を尽くす必要があります。
 

ホームレスに対する偏見や差別

 自立の意思がありながらホームレスになることを余儀なくされ、健康で文化的な生活を送ることができない人々が多数存在する一方、地域社会との軋轢(あつれき)が生じるなど、ホームレス問題は大きな社会問題となっています。
 また、ホームレスに対する嫌がらせや暴行事件などの人権侵害等の問題も発生しています。
 平成14年に「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が制定され、平成15年「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」が策定されました。
 自立を妨げる原因に地域社会の偏見や差別があることは残念なことです。ホームレスの置かれている状況や自立支援の必要性について理解し、ホームレスに対する偏見や差別をなくすことが大切です。
 

性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう

 性的指向とは、人の恋愛・性愛の対象がどういう方向に向かうのかを示す概念であり、自分の意志で変えたり、選んだりできるものではないと言われています。
 同性愛者や両性愛者の人々は、少数派であるために正常と思われず、興味本位で見られたり、職場や学校で嫌がらせやいじめを受けるなど、日常生活や社会生活の様々な面で人権に関わる問題も発生しています。
 性については多様性があるということについて理解を深め、性的指向の異なる人たちへの偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会を実現することが大切です。
 

性自認を理由とする偏見や差別をなくそう

 性自認とは、自分自身の性別をどのように認識しているかということで「心の性」と言い換えられることもあります。多くの人は、性自認、身体の性、自分の性別をどのように表現するか(「性別表現」ともいいます)は女性・男性のどちらかになります。しかし、これらの性別が一貫しておらず、性自認と自分の身体の性、身体の性にふさわしいとされる性別表現との間に違和感を持つ人がいます。
 このため、身体の性とは異なる性別で生活を送っている人、送りたいと思っている人は、望む性別で取り扱われないことにより、ストレスや苦痛を感じています。偏見の目でみられ、差別的な取り扱いを受けることもあります。また、学齢期には、性別表現がずれていることで、いじめに遭ったり、そのせいで不登校になったり、自分の持つ問題を家族や友人に言えずに悩んでいるという調査結果もあります。
 平成16年に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、性同一性障害者であって、一定の基準を満たす者については、性別の取扱いの変更の審判を受けることができるとされています。しかし、この法律の要件を満たすことができず、戸籍上の性別が変更できないために、通院治療、海外渡航、就職、結婚などにおいて、不利益が生じても解消できないまま生活をしている人たちがいます。  この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。
 

人身取引をなくそう

 人身取引は、「遠い昔の出来事」ではありません。現代の奴隷制と言われながら、国際的犯罪組織によって人の売買が今も行われています。特に社会的・経済的に弱い立場に置かれている女性や子どもが被害者の多くを占めると言われており、日本は、人身取引被害者が最終的にたどりつく受入国のひとつであると国際社会から批判を受けています。
 人身取引は、「トラフィッキング」とも言われ、国際的な犯罪組織が暴力、脅迫、誘拐、詐欺などの強制的な手段により、女性や子どもといった弱い立場にある人々を別の国や場所に移動させ、売春や強制的な労働をさせて搾取することをいいます。密入国と混同して考えられがちですが、密入国と違って本人の意に反した強制力や脅迫等が伴っています。
 人身取引は、被害者に深刻な精神的・肉体的苦痛をもたらし、癒しがたい傷を負わすことから重大な人権侵害であり、人道的な観点から迅速な被害者の保護が求められています。また、人身取引は犯罪であり、さらなる被害者を生まないためにも加害行為者や犯罪組織の取締りとともに、被害者が、公的機関等に被害の申告をしやすい環境を整備することが重要です。この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。
 

東日本大震災に起因する偏見や差別をなくそう

 平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災及びそれに伴う福島第一原子力発電所の事故は、多くの尊い人命を奪い、被災地域の人々の暮らしを一変させ、理不尽な苦しみをもたらしました。
 また、被害を受けた人たちが、避難所においてプライバシーが保護されないという問題のほかに、高齢者、障がいのある人、子ども、外国人などの「災害時要援護者」や女性への配慮が問題となりました。また、根拠のない思い込みや偏見で、原発事故による避難者がホテルでの宿泊を拒否されたり、小学生が避難先の学校でいじめられるなどの人権侵害が起こりました。
 一人ひとりが震災の記憶を風化させることなく、正しい知識と思いやりの心を持ち、問題を解決していくとともに、新たな人権問題の発生を防止していくことが必要です。
 また、災害時に、すべての人の人権が適切に守られるよう、一人ひとりが人権への配慮について、関心と認識を深めることが必要です。
 

関連サイト

当市の取り組み

 杵築市では、市民の皆様とともに、一人ひとりが部落差別をはじめとするあらゆる差別について正しく理解し、偏見や差別をなくしていき、「市民一人ひとりが相互に人権を認め合い、真に豊かでゆとりある社会の構築に、あらゆる人々を対象に実施し、人権をあたりまえの習慣、文化として、日常生活に定着させ、すべての市民が人権尊重の精神を踏まえた行動をすることができる社会」の実現をめざして、各種施策に取組んでまいります。
 皆様のご理解とご協力をお願いします。

この記事に関するお問い合わせ先

人権啓発・部落差別解消推進課

〒873-0002 大分県杵築市大字南杵築338番地1(杵築市隣保館内)
電話番号:0978-62-4799
ファックス:0978-62-4799
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